2011年3月6日日曜日

クソゲーオブザイヤー2010

今年発売したゲームの中で一番のクソゲーはどれだ!?それを決めるのがこの「クソゲーオブザイヤー」です。ノミネート作品のクソっぷりをプレイヤーたちが一年間たっぷりと議論して決められるのですが、毎年「バグ満載」、「超手抜き」、「サポート最悪」、「売り逃げ」などの作品多数で、クソゲーを買ってしまった人たちの阿鼻叫喚を見てるととてもメシウマ居たたまれない気持ちになってしまいます。

そして、2010年のクソゲー大賞に選ばれた作品は…

クソゲーオブザイヤー2010
・大賞 【ラストリベリオン】 PS3 日本一ソフトウェア

2007年の「四八ショック」、2008年の「七英雄」……神話の時代に遡ったかのような大災厄を立て続けに受けたKOTY(クソゲーオブザイヤー)スレを2009年に待っていたのは「修羅の国」と呼ばれるエロゲー業界から来た黒船『戦極姫』による身の毛もよだつ侵掠であった。苦行と称されるゲーム性、尽きることのないバグの嵐、残虐非道なメーカー対応……終わりのない苦しみや絶望という暗黒面において、前年王者もまた最強の名に相応しい猛者であったと言えよう。

「クソゲーなんて1本も出ないのが一番良い」
とある勇者が遺したこの言葉を、これほど実感させるゲームはかつて無かったかも知れない。

しかし、そんな平穏を祈る思いは早くも打ち砕かれることとなる。総評完成からわずか2日後の1月28日、突如吹き荒れた季節外れの熱風がKOTYの門を破ったのである。日本一ソフトウェア渾身のPS3専用RPG『ラストリベリオン』(通称「スベリオン」)。直訳で「最後の反逆」というタイトルに恥じない果敢なチャレンジ精神は、一部のマニアに絶賛された。まず戦闘面であるが、HPの成長はレベルが上がるごとに前代未聞の指数関数曲線を描き、物理攻撃にいたっては「レベルを3上げたらダメージが3倍になる」というサイヤ人仕様。むろん、このインフレの前では、メーカーが謳う斬新な戦闘システムや「火、氷、風、(中略)、銀、銅、アダマン」等の多彩(過ぎて理解不能)な属性魔法も全く意味をなさない。雑魚敵からラスボス、裏ボスにいたるまで装備や魔法で工夫する余地はほとんど存在せず、攻略スレではどんな質問も「レベルを上げて物理で殴れ」の一言で解決する異常事態となった。かつて物理学者アインシュタインは「物事は全て、出来る限り単純にすべきだ」という言葉を残したが、【 レベルを上げて物理で殴ればいい 】の一言に集約されるこのゲームの戦闘はまさに真理を体現していると言えよう。

他方、戦闘以外の面でも前衛的な試みが随所に散りばめられている。手始めに、フィールド上では敵シンボルから超高速でどこまでも追いかけられ、どう見ても2キャラ分は離れた状態から、初代スト2版ザンギエフ並の理不尽な吸い込みによって強制的に戦闘に突入する。
 
画面右上に表示されたミニマップは高低差も地名もほとんど読み取れず、冒険の手探り感をたくみに演出している。参考までに、本作の平均クリア時間はRPGとしては異例に短い13時間ほどだが、このうち3時間は迷子になる前提である。

会話場面はフル音声であるが、なぜか全編英語であり、日本語化対応は字幕のみ。紙芝居のごとく動かないイラストに乗せて、リスニング教材さながらの三文芝居を延々と聞かされる。BGMが蚊の鳴くような極小音量に設定されているのも、「学習に集中できるように」という温かい心配りであろう。肝心のシナリオはと言うと、「登場人物をどう数えても10人前後にしかならない」という驚異的なスケールの小ささが光る。

何やら国家存亡の危機が起きていることが何度も説明されているが、町内会にも満たない人数では何の説得力もなく、そもそもゲーム中には「国」はおろか、普通の人間が生活している痕跡が何一つ描写されていない。話の根幹が全く練られていない一方で裏設定と思しき固有名詞は異常に多く、中学生の黒歴史ノートとよく似た臭いが漂っている。なお、全編英語にした甲斐もなく、海外大手レビューサイトでは「存在する必要がまるでない」とバッサリ切り捨てられており、日本一ソフトウェア米国法人の社長から、「発売してしまって本当に申し訳ない」という衝撃的な発言が飛び出す一幕もあった。反逆の行方は、あえなく玉砕と相成ったと見るべきだろう。

本作は「一つも褒めるところがない」という、KOTY史上でも類を見ない特質を持っており、これが受賞の決定打となった。

一流アーティスト達の制作協力がゲームの内容に全く活かされていない。キャラグラフィックは小林智美女史や美樹本晴彦氏らが寄稿したイラストとは似ても似つかないヒラメ顔のローポリであり、お通夜会場のように静まり返った場面で影山ヒロノブ氏提供のアツい主題歌が突如鳴り響く有様である。誰もが羨む高級素材を手にしながら、調理一つで全て台無しにした手腕には感服せざるを得ない。なお、開発会社の「ヒットメーカー」は『ドラグナーズアリア』で2007年携帯機部門KOTYにもノミネートを果たしており、今回の受賞により、クソゲー界の「安打製造機」として社名に恥じない地位を確立したと言えるだろう。そして、2008年の『奈落』、2009年の『ヒッチ』と、優秀な「門番」を立て続けに輩出しながらもタイトルに恵まれず、三度目の正直で文字通り日本一の栄冠を手にした「日本一ソフトウェア」には最大級の賛辞を贈りたい。

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